これもスゴイ〜『ゆれる』

梅雨も終わったかな?の今日、西川美和監督の第2作『ゆれる』を見てきました。  私にとって生涯2度目の立ち見です。(高校生時代『ビートルズがやってくる!ヤア・ヤア・ヤア』以来・・・何十年前だ!) 
確かに今日はレディースデイの割引だけれど、こんなに一杯とは! 評判上々だし、混んでる事を見越して、上映1時間以上も前に行ったのに、これほどとは・・・。 通路に座り込んで、靴も脱いで、すっかりリビングルーム・モードで・・・(腰が痛くならなくてよかった)。
若い女性監督が、こんなにも兄弟を描けるのか・・・とその才能に驚いた。 そして、何といっても出演者のうまさ。 香川照之が今回も怪演、どんな人物にもなりきれる存在感のすごさ。 オダギリジョーもこれほどとは・・・。 
起こったことは明白だけれど、その展開が予想を軽く裏切ってくれる。 ストーリーはいろいろ紹介されているので省略・・・。 ゆれるのはつり橋ばかりじゃなくて、兄弟の絆も。  人間の本質を描いたドラマとして、完成度が高い。 人って複雑なのね、いろんなものを隠していて。 
映画が終わったあとも、オバちゃんたち あれやこれやと話しながらエスカレーターへ。  話さずにいられない気持ち、わかるなあ 「何でああなんやろ」「どう関係があるんやろ」 私もまだまだ整理できないことだらけ。 どんな風にも受け取れるメッセージやもん。

**この映画で、一番心に引っかかったこと** 
フジの8ミリ映写機SHシリーズ。 かつて私が販売担当だったもの、その後ビデオにとって代わり消えた『文化遺産』。 それが崩壊してしまった幸せな家庭を映し出す。
8mmフィルムがどれほど多くの映画少年を(もちろん最近台頭の映画少女も)その気にさせたか・・・。 ウチにもカメラ・映写機が何台か・・・捨てることも、売ることもせず、今も持ち続けている。 (こんなに若い作者なのに)8mmフィルムへのオマージュが、私のなかの生意気な時代と溶け合って、苦いものとなって湧き出てきた・・・。